要求仕様について
2016.06.07
今回は、基幹業務システム構築のフェーズにおいて一番、肝となる要求仕様についてのコラムです。
そもそもシステムは、現場の業務を円滑に運用するために利用するためのものです。その現場の業務要件に対して、いかに適切で使いやすい機能であるのかがとても重要となります。
そのため、現場運用者の要件は重要度が高くなります。経営層・管理層が机上で理想的なシステムを考案しても、現場に当てはまらないケースもあるのです。
それは、その仕様が間違っているのではありません。実際の業務に適合していないことが多いのです。
では、業務に適合していればシステムの仕様は完璧なのかというとそうでもありません。
現段階で“会社が判断した、最善の仕様にする”というのが正解だと思います。
要するに、現場の業務のステージよりも少し上の機能を持ったシステムが最適です。利便性を重視して必要以上の機能を取り入れても、現場で運用する社員が機能の必要性を理解していなければ使用しにくいシステムになってしまいます。そうなると、システムの導入効果がなくなってしまいます。
人は、自分の知らないモノに対して最初から好感を持つことは難しく、習慣となっている業務スタイルを変更することは基本的に嫌悪傾向にあると思います。だからといってシステムに実装する機能レベルが低過ぎるのも良くありません。
前の仕組みの方が便利だった、手作業の方が早いとなるとシステムを導入した意味がなくなってしまいます。
一度で理想的な仕様のシステムを目指すのではなく、現在の作業効率度が100%であれば、システムの導入で120%くらいの作業効率化を目指します。20%UPしたことで、次の20%UPの要件が発生してくるでしょう。
明確な要求仕様で無駄な工数の少ない、追加開発を適時行うことがベストだと考えます。
フルスクラッチ開発の場合は特に、急いでフル機能を実装させてシステムを構築するのではなく、迷いがある機能は必須機能のリリース後に検討しても良いのです。
その要件が本当に必要なのか、よく検討してから実装判断を行うことが、費用的にも無理のない追加・改修開発だと思います。
総括すると、運用現場の状況を考慮し、システム機能レベルをどの程度にすれば良いか、また、現場運用に対し最適なシステムにするのかを重視する必要があります。
ここの、”おとしどころ”と”妥協ポイント”が要求仕様の定義においては非常に重要だと思います。
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